医学界のヒポクラテスと畏敬される中田瑞穂先生の晩年の傑作を再現!中田瑞穂:画 「ヒポクラテス像」
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額装[額寸 40cm×129cm] |
定価63,800円(10%税込)
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中田瑞穂:画
「ヒポクラテス像」によせて
蒲原 宏
医聖ヒポクラテスの遺跡を訪ねてギリシャのコス島を訪れたのは昭和44年9月30日のことであった。
コス島はヒポクラテスの生地で、諸国で修業の後、ここに帰り医学を門弟に教えたヒポクラテス学派の聖地である。
町の中央には、その下でヒポクラテスが医学を教えたという伝説のあるヒポクラテスの木とよばれるプラタナスの巨木がある。
これはヨーロッパで最も聖なる木とされている。私はこの実を持ち帰って発芽させ、立派な苗木に育てあげてから新潟大学医学部構内にそれを植えたのが昭和47年6月2日である。
植樹の記念に中田瑞穂先生は「ヒポクラテスの木」の碑文を揮毫された。当時の先生の俳句に
ヒポクラテスの木
やがて大夏木になれと植ゑらるゝ みづほ
という句がある。その後さかんに、いろいろのヒポクラテス像を模写され、私に示された。
そこで私は、「現在、ギリシャで正しいヒポクラテス像と言われてるものは、コス島の博物館の特別室にある大理石の立像です」と、その写真をお目にかけた。それをもとに数枚のヒポクラテス像を画かれ、昭和47年夏に完成したのがこの複製の原画である。
コス島博物館にあるヒポクラテス像は大理石なので薄い褐色をおびているが、中田先生のヒポクラテス像は、先生独特の墨色のぼかしがよくきいており、医聖の威厳が人の襟を正させるものがある。これは数え年八十歳の筆になるもので、先生晩年の傑作の一つであると信じている。日本の脳神経外科学の開拓者、文化功労者、学士院会員で新潟の医学界のヒポクラテスと畏敬された中田瑞穂先生の医学思想の一端を象徴する医学文化財の一つであると考える。
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